2011年5月25日水曜日

Alternative splicingによって自己制御

Nat Commun. 2011;2:303.
Two splice variants of the IDD14 transcription factor competitively form nonfunctional heterodimers which may regulate starch metabolism.
Department of Chemistry, Seoul National University, Seoul 151-742, Korea.

 転写産物のalternative splicingは真核生物において、多様な転写産物及びタンパク質の創出に重要な役割を担っている。本研究では、シロイヌナズナIDD14 転写因子のalternative splicingによって競合阻害を引き起こすタンパク質が生成され、デンプン合成の調節に寄与していることが明らかにされた。IDD14IDD14α(機能をもつ)spliced variantであるIDD14βalternative splicingによって生成される。IDD14βは特に低温条件においてより多く生成されるが、IDD14βDNA結合ドメインを欠いているがIDD14αとヘテロダイマーを形成することが可能である。このIDD14α-IDD14βヘテロダイマーはQQS (Qua-Quine Starch、デンプン蓄積の調節遺伝子)プロモーター領域への結合能が低下していた。IDD14α過剰発現植物ではQQS過剰発現植物と同様に、成長阻害及び淡緑色を示した。一方でIDD14βを過剰発現させるとIDD14αで見られた表現型が正常に戻った。このことから、IDD14におけるalternative splicingは自己制御ループを形成し、低温に応答したデンプンの蓄積調節に関わっていることが示唆された。


最近発刊されたNature Communicationsの論文。Alternative splicingによって、βがαを低温時に調節するという現象で、興味深い論文。In silicoでalternative splicingされる転写因子が300近くあるのだが、その中でどうやってIDD14をピックアップしたのか?は書かれていない。神の手?