2012年9月7日金曜日

PHYB, PIF, CBF

2012 Aug 27. [Epub ahead of print]

Photoperiodic regulation of the C-repeat binding factor (CBF) cold acclimation pathway and freezing tolerance in Arabidopsis thaliana.

 
Thomashowのところからの論文。
 
要約
CBFは低温順化に重要な因子である。シロイヌナズナにおいてはCBF1, 2, 3の低温誘導がこの順化に関わっており、CBFターゲット遺伝子の発現誘導を行い、低温耐性になる。通常条件ではCBFの転写レベルは低く保たれているが、概日リズムの影響によりオシレートしており、夜明け後8時間(ZT8)にピークがある。筆者らはCBF経路が通常条件でphotoperiodによって調節されていることを明らかにした。ZT8ではCBF転写レベルは短日(SD)条件で長日(LD)条件よりも3~5倍高かった。更に、SD植物の低温耐性はLD植物よりも強かった。遺伝学的な解析から、PHYBとPIF4, PIF7はLDにおけるCBF経路の抑制及び凍結耐性の抑制に働いていることが明らかとなった。LD植物におけるCBF経路の抑制はPIF4及びPIF7の高い転写レベルと、LDにおけるPIF4, PIF7の安定性が関わっていた。このことから、暖かなLDの季節ではPHYB, PIF4, PIF7によってCBFは積極的に抑制され、エネルギーや栄養源を凍結防御よりもほかに回しており、SDになるとCBF経路を活性化して、これから来るであろう低温に対する準備していると考えられる。
 
PHYとPIFが絡んできました。確かに低温耐性には光が関わっているということも言われていたので、そういうこともありなのかと思われます。
 
 

2012年7月6日金曜日

CHART PCR

論文中に出てきたので何だ?と思ったら
Chromatin accessibility by real-time PCR
の略だそうです。

具体的な内容は、ユークロマチン状態かヘテロクロマチン状態か調べられる。
詳細は
こちらこちらのリンクへ

2012年6月29日金曜日

文献紹介。
低温と概日時計の調節ということで最近分かったことを2報。
 
2012 Jun 19. [Epub ahead of print]

A Self-Regulatory Circuit of CIRCADIAN CLOCK-ASSOCIATED1 Underlies the Circadian Clock Regulation of Temperature Responses in Arabidopsis.

Department of Chemistry, Seoul National University, Seoul 151-742, Korea.

概日時計の因子の1つであるCCA1が低温順化に関わるとのこと。どのようにしてCCA1の活性が調節を受けて、概日リズムと低温順化に関わっているかをこのたび明らかにした。スプライスバリアントであるCCA1βによってCCA1のself-regulationが行われることが概日時計と低温順化をつないでいる。CCA1βはCCA1α-CCA1α、LHY-LHYといったホモダイマーやCCA1α-LHYヘテロダイマーの形成を阻害する。どうやってかというと、CCA1βとnonfunctional heterodimers作って、このことによりDNAへの結合活性が弱まるということ。ということで、CCA1β過剰発現体35S:CCA1βはcca1 lhy二重変異株と同様、概日リズムが短くなった。さらに、CCA1α過剰発現体35S:CCA1αでみられるelongated hypocotylやleaf petioleの表現型がCCA1βを共発現させると、表現型が抑えられた。注目すべきことは、低温にするとCCA1のalternative splicingが抑えられて、CCA1βもできにくくなる。なので、35S:CCA1αでは凍結耐性が増し、35S:CCA1βでは凍結感受性を示した。このことから、CCA1 alternative splicingの調節が低温耐性に寄与していることを示している。CCA1のself-regulationにより、時計による温度応答の調節がされているということで結論付けている。



2011 Apr 26;108(17):7241-6. Epub 2011 Apr 6.

Circadian clock-associated 1 and late elongated hypocotyl regulate expression of the C-repeat binding factor (CBF) pathway in Arabidopsis.

Department of Energy Plant Research Laboratory, Michigan State University, East Lansing, MI 48824, USA.

CBF依存的低温シグナルは低温順化において非常に重要な経路である。Arabidopsisにおいて転写活性化因子であるCBF1, CBF2, CBF3は低温時において非常に素早く誘導され、その後、CBF regulonと呼ばれるCBFターゲット遺伝子を誘導する。CBF regulonの発現により凍結耐性能が上昇する。以前の研究ではCBF1-3は概日リズムによって調節されており、その低温誘導は概日時計によって調節されていた。今回の研究では、遺伝学的解析及びChIP解析から、概日リズムによる調節は、CCA1及びLHYの2つの転写因子が直接的に働くということが明らかとなった。まず、cca1-11 lhy-21二重変異株ではCBF1-3の低温誘導能が著しく低下し、CBF1とCBF3の概日リズムの調節が失われていた。CBF2の概日リズムは見られたが、振幅が顕著に減少していた。また、CBF regulonであるCOR15A, COR47, COR78では概日リズム及び低温誘導がcca1-11 lhy-21二重変異株では著しく低下していた。さらに、この二重変異株では順化前後に関わらず、凍結耐性能が失われていた。これらの結果から、CCA1/LHYを介した概日時計はCBF依存的低温シグナルの調節を介して、低温耐性に関わっていることが示された。

概日リズムは低温応答に関わっていることはよく知られていたが、分子レベルで明らかになってくると、時計遺伝子がキーになるわけですね。CCA1がalternative splicingで調節されるというのは非常に興味深いです。


Impact factor 2011

投稿が遅れましたが、impact factor 2011が出ましたね。
Plant Science分野を見てみますと、上の方はあまり変わっていないと思いきや、
Plant Jが下がってNew Phytolが上位に食い込んできましたね。
ざっと見て、
New Phytol, JXB, Mol Plant, PCP
が伸びていますね。
上位が多少落ちた分、この辺りにいい論文が流れてきたのかもしれません。

2012年5月3日木曜日

上海

このたび日中韓若手WS参加のため上海に行ってきました。
中国の発展は目覚ましいものがありますね。
GDP2位だけのことはあります。侮れないです。
中国っぽいところは観光地化してます。

WSのとなりでは日中韓大臣会合も行われていて、最後に大臣の前でレポートが行われました。
私はバイオテクノロジーの分野に参加したのですが、多少でも現状を伝えられたかと思います。




2012年4月2日月曜日

新年度

2012年度が始まりました。
今年度もよろしくお願いいたします。

さて、更新が遅くなりましたが、3月に学会(京都)及び国際シンポジウム(奈良)で発表してきました。
自分の専門外の発表も聞くことが出来るので勉強になります。2つ連続で結構ハードでしたが、なんとか無事に終えることができました。



2012年1月5日木曜日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。