2019年12月31日火曜日

台湾World Vegetable Center

 事務局長を務めております産学協力第178委員会(代表:江面教授)から台湾World Vegetable CenterおよびAcademia Sinica Agricultural Biotechnology Research Centerへ視察へ行ってきました。


 きっかけは、昨年まで筑波大でNBRP助教だった星川さんがJIRCASに赴任し、JIRCASからWorldVegへ派遣されているということで、視察をお願いしました。
 WorldVegは台湾政府およびドイツをメインに日本を含め数か国の資金によって成り立っているそうです。ABSのこともあり、今後、遺伝資源が重要となってきますが、WorldVegでは155か国から収集した6万以上のアクセッションを保有しており、この40年間で200の国々へ約70万サンプルを配布した実績をもっています。種子保管庫では、バーコード管理されており、右図のような低温室にて保存されています。
 これだけの数を管理するのは大変な作業かと思いますが、これらの遺伝資源を用いて様々な品種が作出されていることを考慮すると、遺伝資源の重要さが分かります。一緒に行った企業の方からも早速問合せがあったそうです。
 これだけの遺伝資源を一つ一つチェックするというのは大変な作業ですが、WorldVegでは左図のようなPhenospecとよばれる、自動で移動しながら、1000近くの植物体のフェノタイピングを行う装置を導入していました。1時間かけて、往復しながら植物の成長度合、高さ、葉の大きさなどを測定するそうで、膨大なデータを取得することが可能だそうです。導入には5000万円ぐらいはかかるそうで、その資金をどこから調達するかが問題にはなりますが。

 このあと、Academia Sinica Agricultural Biotechnology Research Centerにお邪魔しました。来年、新幹線の駅近くに引っ越しするそうですが、ここでは、GMOを中心として、植物バイテクによる研究が行われておりました。台湾の主力産業であるランの研究も行われており、病害に強いものとかの作出を行っているとのことでした。
 また、同じラン科のバニラも育てられていました。台湾のような温暖な地域でも、右図のように成長するまでに4年かかるそうで、なかなか生育に時間がかかる植物です。
 1つなるほどと思ったのは、温室にピンク色のメッシュで、生育状況を調べるというものです。LEDでは赤と青で成長を促進させるが、これを温室でも行おうという方法だそうです。これでうまいこと生育促進につながれば、LEDよりは断然安上がりではあります。

 今回は台南を中心に視察でしたが、ほかのところを見るというのは様々な知識を直接知ることができて良いものです。