2011年2月23日水曜日

Ca2+/カルモジュリンがサリチル酸による植物免疫応答の調節に関わる

ちょっと前の論文になりますが、

Nature. 2009 Feb 26;457(7233):1154-8.
Ca2+/calmodulin regulates salicylic-acid-mediated plant immunity.
Center for Integrated Biotechnology and Department of Horticulture, Washington State University, Pullman, Washington 99164-6414, USA.

植物-病原菌相互作用時における細胞内カルシウムの一過的変動は部位的(LAR; local acquired resistance)及び全身獲得抵抗性(SAR; systemic acquired resistance)を引き起こすのに重要な現象である。サリチル酸はこの両方の抵抗性応答に重要なメッセンジャーである。また植物-病原菌相互作用時においてカルシウムの上昇が引き起こされることが、これまでの研究から明らかになっている。しかし、どのようにしてカルシウムシグナルがサリチル酸レベルを調節しているかについては分かっていなかった。筆者らはこのカルシウムシグナルとサリチル酸依存的免疫応答を結ぶメカニズムとして、カルモジュリン、AtSR1(別名CAMTA3、カルモジュリン結合型転写因子)及びEDS1(サリチル酸レベルを調節因子)が関わっていることを明らかにした。AtSR1の変異株では恒常的病原菌抵抗性及びサリチル酸レベルの上昇がみられたことから、AtSR1は植物免疫機構の負の制御因子であると示唆される。このことはサリチル酸蓄積や病原菌抵抗性変異株との交配による遺伝的上位検定(epistasis analysis)により確認された。また筆者らはAtSR1EDS1プロモーターに結合し、EDS1の発現抑制に関わっていることを明らかにした。さらにAtSR1とカルシウム/カルモジュリンの結合は抵抗性抑制に必要であり、カルシウム/カルモジュリンがAtSR1の機能調節に直接的に関わっていることが示された。これらの結果から、これまで分かっていなかったカルシウムシグナルによるサリチル酸レベル調節機構が明らかになった。


このAtSR1は、実はCAMTA3なのですよね。CAMTA3はDREB1/CBFを調節して低温に関わるということが知られているので、サリチル酸と低温応答は結構密接な関わり合いがあるということを示唆しているのでしょう。

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