2011年2月21日月曜日

葉緑体膜のlipid remodelingが凍結耐性に関わる

Science 8 October 2010: Vol. 330 no. 6001 pp. 226-228
Freezing Tolerance in Plants Requires Lipid Remodeling at the Outer Chloroplast Membrane


Scienceの論文から。

植物は複雑な機構によって凍結に適応している。その適応過程には脱水によって引き起こされる細胞傷害を防ぐ役割も含まれる。脱水時における細胞膜の脂肪組成リモデリングは細胞膜へのダメージや細胞死に対処するための重大な機構である。SFR2 (SENSITIVE TO FREEZING 2)遺伝子はシロイヌナズナにおける凍結耐性に必須であり、葉緑体外膜のガラクトリピッドリモデリング酵素である。SFR2は豊富に存在するモノガラクトリピッドからガラクトシル残基を他のガラクトリピッドアクセプターへ転移する酵素である(galactolipid:galactolipid galactosyltransferase)。このことでオリゴガラクトリピッドとジアシルグリセロールが形成され、ジアシルグリセロールはさらにトリアシルグリセロールへと変換される。SFR2とトリアシルグリセロール合成酵素の働きによりモノガラクトリピッドは葉緑体膜から除去される。このことにより細胞膜におけるbilayer/non-bilayerの割合が変化する。つまり、モノガラクトリピッド型はcorn-shapeらしく、hexagonal structure IIを形成してしまう。これが形成されると膜構造が壊れる。モノガラクトリピッド型からオリゴガラクトリピッド型へ変換することでcylinder-shapeになり、bilayerを保つことができるそうである上述のようなSFR2を基盤とした機構により凍結時において葉緑体容積を変化させて、脂質膜の安定化に関わっている。

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